シネマ!みちブログ

シネマ! みちブログ

★4以上の映画が好きな、普通の映画レビュー。雑記も多し。

【映画】ラマン愛人~マルグリット・デュラス~戦争ノートに残したもの

こんにちは、みちです。
f:id:giftfromsea:20200520210208p:plain

今日は、この映画、観たけどあんまよくわかんなかった、という方へ

マルグリット・デュラスの生い立ち、時代背景を知ると、がぜん面白くなった話です。

愛人 ラマン (河出文庫)

愛人 ラマン (河出文庫)


〈もくじ〉

・ラマン~愛人は自伝なの?

・デュラスの生い立ち

・ラマンの後の物語

ラマン~愛人は自伝?

本を読んでみたことろ、概ね自伝のようだ。

戦争ノート

戦争ノート

デュラスが作家デビュー前に書いていたノート
である。

幼少期のことを書いているところが
衝撃的だ。

母親と、2人の兄からの暴力や、
デュラスの愛人である、華僑の大富豪の息子に対する、
差別的な眼差し、にもかかわらず、金銭的に依存する
描写が生々しい。

当時は、
宣伝の割には、あんまり面白くないし、

まったりとして、
どゆこと?と思った記憶。

その後、小説を読んで

18歳で、わたしは年老いた。
というフレーズと

イマージュ
という単語。

映画の冒頭のシーンの
真っ赤な口紅と赤いヒールをはいて、風になびく少女の姿

カフェのような、サロンで
アヘンを吸っている、中国人の彼、の退廃した姿

だけの記憶が残されていた。

何気に手にとった本の中では、小説のように、
ぼんやりとした表現でなく、
事実が淡々としるされていて、とても読みやすい。

デュラスの生い立ち

ベトナム生まれ。
7歳、父を病気で亡くす。*ハノイの中学校で校長先生をしていた

母が小学校の教員をしながら、サイゴンの、メコンデルタ地方、サデックで
2人の兄と共に育つ。

母親が現地の役人に騙され、海水に浸ってしまう土地を買わされたため、
貧しい暮らし。 *「太平洋の防波堤」参照。

14歳で、華僑の大富豪の息子と出会い、恋に落ちた。
↑恋ではなくて、お金目当て。

ノートでは、
華僑に対する、同胞(両親はフランス人学校はリセ)の差別的扱いから、彼との付き合い
は恥ずかしいことだけれども、
母親と兄からは、家計のためには、付き合いをやめないように
圧力がかかっていることが打ち明けられている。

ラマンの後の物語

デュラスが、ナチス政権下のパリで暮らしており
最初の旦那さんと共にレジスタンス活動をしていた、とは知らなかった。

しかも、旦那さんは、ゲシュタポに捕まり、強制収容所に送られていて、
帰ってくるまでのことが、「苦悩」で描かれており、映画化されていた。


映画『あなたはまだ帰ってこない』日本版予告編

まとめ

知れば知るほど、衝撃エピソードに触れることが多く、まさに波乱万丈。
結婚2度は、フランスでは、あるある、なんだろうけれど。

最初の子を亡くしていたり、高校時代に妊娠したものの、産めなかったこと
は、その後のアルコール依存にも大いに影響していると思われ。

不思議なのは、家族に対する、恨みごと、不満が、感じられないことだ。

そのことが、不自然に感じられる一方で、デュラスの魅力につながる雰囲気
も生んでいる。

たとえば、けだるさや、冷たさ、書くことへの熱さ、を。

あなたはどう感じるでしょう?

ではまた!