シネマ!みちブログ

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★4以上の映画が好きな、普通の映画レビュー。雑記も多し。

海にかかる霧 ヘム

海にかかる霧(字幕版)

海にかかる霧(字幕版)

  • 発売日: 2015/10/07
  • メディア: Prime Video
今回は、韓国映画の紹介です。韓国ドラマのラブシーンって、とてつもなくファンタジーに溢れてます。映画となると、性と暴力の描写がいきなり激しすぎて、その落差が凄い。この作品もその例にもれません。

あらすじ

俺は長年船長として漁をしてきた。しかし、もう不漁続きで限界だ。やるしかない、大金を稼ぐ方法。密航を。

僕は船員でまだ経験は浅いから、料理を担当しているドンシクだ。今回の航海は、どうやらいつもとは違うようだが、詳しくは知らない。とにかく言われたことをするだけだ。

中国船に乗った密航者達を自分達の船に乗り移す最中、一人の女性が、海に落ちた。ドンシクが助ける。それからドンシクはその女性のことが気になる。

漁もしつつ、目的地に向けて航海を続けていると、海上警察が近づいてきた。あわてて指示する。密航者達を、船の底、漁で採った魚を入れる場所にどじ込めろ、と。
警察の尋問が終わり、解放しようと、船の底の蓋を開けると、そこで全ての密航者達は息絶えていた。

果たして密航は早々に失敗するのだが、そこから船長の恐怖の支配に翻弄される若い船員たち。船は何処にたどり着くのか、、、。

感想

ドンシク役の、元JYJパク・ユチョンが、初めて映画デビューし多くの賞を受けた。当時俳優として一番充実していた時期だろう。インタビューでは、ビジュアル崩壊しても構わない、とにかく太るため沢山食べた、ずっとドンシクとして暮らしていた、と役になりきり没頭していた記事がよく上がっていた。ファンにとっては待ちに待った作品である。(わたしもその一人)しかし一言で言えば、重苦しいです。登場人物の誰にも共感、感情移入出来ない。えええ!そうなる?の連続なのだ。それで監督の気持ちを想像してみた。行き着くのは、やはり、民族のルーツであり、歴史だ。(いきなり大事かな?)

密航してまでも生き抜いてゆく、という強い生存本能をかきたてられる環境に、常に置かれていた朝鮮民族。その末裔である自分、現在も尚、海外へ発信せねば立ち行かないエンタメ国策韓流業界にいる自分。つい20年前アジア通貨危機により、翻弄された多くの国民。その一人であるユチョン。彼は両親のアメリカ移住に伴う貧困と孤独を、思春期に経験している。他国に移住し、貧困と差別に晒された者たちの、生きようとする力の強さは、海に囲まれ守られた農耕民族には、到底計り知れないものだと痛感する。
船内の人物はみな追い込まれた人だから、安全地帯にいる自分には到底分からないのだろう。ただ、最後も悲しく、ドンシクなんだが、アメリカで中学生時代に学校を休んで、土方の仕事を父親と一緒にしていたというユチョンに重ねて見てしまう。
残酷さに、意識が持って行かれてしまうし、最後はやはり希望が持てる終わり方の物語が好きなんだと気がつく映画でありました。

あなたはどう感じるでしょう。
ではまた!